大人ニキビの体内原因 水滞(すいたい)
大人ニキビの体内原因 水滞(すいたい)
目次
大人ニキビが出来やすい肌になる最も多い体内原因が水滞(すいたい)です。
水滞(すいたい)は水分代謝が低下することで体内に余分な水分をたくさん抱え込んでしまう状態で、この問題があると体の冷えをおこしやすくなり、肌の働きや代謝が低下して大人ニキビが出来やすい肌になってしまいます。
水滞(すいたい)とは?
成人の体は約60%が水分で形成されているといわれています。
そのため、人間は水分を摂取しながらでなければ生きていくことは出来ません。
口から飲料水や食べ物に含まれている水分が摂取されると、その水分は腸管から体内に吸収されます。
体に吸収された水分は血管の中に取り込まれ、体全体の細胞に送り届けられて体液となります。
体内の水分は常に循環していて、細胞に送り届けられて体液の役割を果たしていた水分も、やがて老廃物と共に尿や便によって体外に排泄されていくのが正常な状態です。
体液としての水分は人間には絶対に必要なものですし、余分な水分がしっかりと体外に排泄されていくサイクルがしっかりと機能していれば問題はないのですが、体の中に余分な水分が溜まってしまう状態を東洋医学では水滞(すいたい)と呼んでいて、体の様々な部分に悪い影響が出やすくなる体の状態とされています。
お腹を触ると冷たくありませんか?
腸管の中の水分は液体で摂取した水分だけではありません。
食べ物の中にもかなりの水分が含まれていますし、食べ物を消化するための消化液(唾液・胃液・胆汁・膵液・腸液)も加わって、食べ物が腸に届くときにはかなり水っぽい状態になっています。
腸では、それらの液体で摂取した水分を吸収したり、消化液に溶けた栄養素を消化液ごと再吸収しています。
腸は平均するとその長さは約7mほどあるといわれています。
腸の働きが正常で、水分の吸収がスムーズにおこなわれていれば良いのですが、腸の働きの低下によって水分吸収が上手くおこなわれなくなると腸管の中に吸収されるのを待っている余分な水分が溜まってしまいます。
このような状態になると、お腹が空いているわけでもないのにお腹がギュルギュル鳴ったりすることがありますが、これは腸管の中を余分な水分が移動するときに出る音だといわれています。
腸管の中の余分な水分が多くなると、お腹の中に水枕を抱えているような状態になってお腹が冷えやすくなります。
おへその周りを触ってみるとお腹が冷たくなっている人がいますが、それはお腹が冷えているためで、腸の働きがあまり良くないために水滞(すいたい)をおこしている疑いがあります。
水滞(すいたい)が進むと肌の働きが低下します
人間の体は、温度が低下するとその部分の働きが低下してしまいますので、腸の働きがもともとあまり良くないために水分の吸収に時間がかかると、水分が溜まることで腸が冷えをおこしてしまい、さらに腸の働きが低下するという悪循環に陥ってしまいます。
そのまま腸が冷え続けてしまうと、腸の働きもどんどん低下してしまいますので、そんな時には体が腸の冷えを食い止めようとします。
人間の体は心臓から血液が体全体に送られて循環しています。
血液は酸素や栄養素、ホルモンなどを体全体の細胞に送り届ける働きがありますが、それと同時に体温も血液が体全体に運んでいます。
”熱き血潮”といわれますが、血液は温かいものなのです。
この温かい血液を冷えをおこした部分にたくさん循環させることで、冷えた部分を温め、低下した働きを高めようとします。
水滞(すいたい)によって腸が冷えをおこしたときには、腸の周りに血液をたくさん循環させることで腸を温め、働きを高めようとするのですが、腸の周りにたくさんの血液を循環させるためには、本来は体の他の部分に循環させなければならない血液が腸の周りに集まってくるということになります。
冷たいものを摂って一時的な冷えを起こした程度ならば、その冷えが取り除かれればその部分に集中していた温かい血液がまた他の部分を循環するようになりますが、腸管からの吸収が悪いために腸に冷えをおこしているような場合、温めても温めてもまた口から摂取した水分や食べ物に含まれる水分が腸管の中に溜まってくるため、いつまでも腸管が冷えたままで、それを温めるための血液が恒常的に腸の周りに集中している状態が続くことになります。
腸を温めるためにお腹周りに血液が集中する状態が長く続くと、今度は他の部分を循環する血液量が少なくなって様々な影響が出てしまいます。
例えば、心臓から遠くはなれた足先に血液が届きにくくなると足先に体温が届きにくくなるため足の冷えをおこしやすくなります。
水滞(すいたい)によって腸の周り=体の中心部に血液が集中すると、体の表面を循環する血液量が少なくなり、体の表面にも冷えがおきて、体の表面にある肌の働きが低下しやすくなり、この肌の働きの低下が大人ニキビの大きな原因になります。
体の表面=肌の周囲の血液循環量が低下すると肌の働きの低下によって肌の新陳代謝が正常におこなわれにくくなります。
この影響によって毛穴の部分の肌の代謝が正常におこなわれなくなると毛穴の出口が塞がりやすくなり、ニキビの初期段階である白ニキビが出来やすくなります。
また、肌の働きが低下すると体の中に熱がこもりやすくなってきます。
人間の体温は36.5℃が平熱といわれています。
体内では筋肉の活動や肝臓、脳の活動などで体温をつくっていますが、熱をつくってばかりでは体温が上昇しすぎてしまうので、熱が逃げていく場所もあります。
温かい大便・小便を体外に排泄することでも熱を逃がしていますし、呼吸や肌からも熱を逃がしています。
呼吸と肌から逃げていく熱はとても似ていて、呼吸で息を”ハァ~ッ”と吐くと温かく感じますが、寒い朝などに息を吐くと水蒸気が立っているのが分かります。
呼吸や肌から熱が逃げていく時には、温かい水蒸気のような気体で熱が逃げていっているのです。
ところが、水滞(すいたい)によって肌周囲の血液循環量が低下すると、肌から熱が逃げにくくなってしまいます。
お腹の冷えがあるために下半身に行けない熱が上半身に溜まりやすいのですが、その溜まった熱も肌から逃がしにくくなってしまうと、上半身の熱のこもりをおこしてしまいます。
この熱のこもりが強くなると、肌の代謝の低下から出来た白ニキビが、炎症ニキビや化膿ニキビに発展すると東洋医学では考えられていますし、上半身の熱のこもりによって赤ら顔もおこしやすくなります。
また、熱のこもりがさらに強くなると痒みや湿疹なども出やすい肌になりますので、熱のこもりから敏感肌もおこしやすくなります。
冷えが大人ニキビの原因とされることがありますが、冷えも大人ニキビも、さらには赤ら顔や敏感肌も、水滞(すいたい)という同じ原因がおこしている症状である場合が多いです。
大人ニキビの温床、水滞(すいたい)を改善するには
大人ニキビや赤ら顔、敏感肌などをおこしやすい肌になってしまう体の状態、水滞(すいたい)を改善するにはどうしたら良いのでしょう?
まず、不必要な水分をあまりガブガブ飲まないことです。
水分は人間が生きていくためにどうしても必要なものですが、腸の吸収力に比べて過剰な水分を取りすぎることで水滞(すいたい)をおこしやすくなってしまいます。
水分補給の時にいきなりガブガブ飲むのではなく、まず一口口に含んで、それをゆっくりと飲み、まだ足りなかったらまた一口含むという飲み方を繰り返し、とりあえず満足できそうならばそこで飲むのを止めると良いでしょう。
そうすることで、いきなりガブガブ飲むよりも少ない量で満足することが出来る場合が多いです。
これを繰り返すと、今まで余分に摂っていた水分を減らすことが出来ます。
ただし、運動や夏の暑さで汗をたくさんかいた後などは、ある程度の水分摂取は必要ですので、そのような時には一口ずつ満足するまで飲むようにしましょう。
上半身に熱がこもっている人は、飲みものなどで冷たいものが欲しくなる人が多いですが、熱のこもっている部分を通過するときには冷たいものの方がおいしく感じても、冷たいものが腸に届くとお腹の冷えを加速させてしまいますから、なるべく冷たいものは控えた方が良いです。
また、お腹から下の下半身を温めることも有効です。
半身浴や足湯で下半身を温め、温めたものが逃げにくいように腹巻をすると良いです。
冷えたお腹を温めることで、吸収力の低下してしまった腸の働きが高まってくると徐々に肌の働きも活発になってくるでしょう。
大人ニキビが出来やすい肌になる原因の一つ水滞(すいたい)のまとめ
- 水滞(すいたい)とは、余分な水分の摂り過ぎや腸の吸収力の低下で、水分代謝が低下して体内に余分な水分が溜まっている状態である
- 水滞(すいたい)の原因があると、手足の冷えや肌の働きの低下をおこしやすくなる
- 水滞(すいたい)によって肌の働きが低下すると、大人ニキビや赤ら顔、敏感肌などの様々な肌トラブルをおこす肌になりやすい
- 冷えが大人ニキビの原因とされることがあるが、冷えも大人ニキビも水滞(すいたい)という同じ原因からおきる症状の場合が多い
- 水滞(すいたい)を改善するためには、不必要な水分摂取を控え、極力冷たいものは摂らないようにして、お腹から下の下半身を温めることが有効である